2022-02-11 Fri
遅くなりましたが、今月の月替りコーヒーは大人気の『グァテマラ サンタバーバラ農園』です。
サンタバーバラ農園は、グァテマラ南西部,、つまり
中西部山岳地帯に位置します。
シエラ・デ・ロス・クチュマタネス の高地 非常に孤立した地域にあるのです。
ここのコーヒーの実の摘み取りは、たくさんのマヤ系先住民の力に
支えられています。
グァテマラのコーヒーは、大農園が広がる南部平野 と 火山が連なる 中西部山岳地帯の二つで
主に栽培されています。

グァテマラのコーヒー栽培地域
南部 は、中部を横断する『シエラ・マドレ山脈』があり、
その上半分を”ボカ・コスタ”、下半分を”コスタ”といいます。
ボカ・コスタ では、コーヒーのプランテーションが広がり、
コスタ では、綿花やサトウキビのプランテーションが広がっています。
そして、その所有者たちは、ほとんどが 先住民ではない人たち です。
一方で、中西部山岳地帯では、火山が33も点在し、トウモロコシや豆類などの小農園が広がります。
多くの地域で、マヤ系先住民の比率が9割を超えています(1996年調べ)。
グァテマラにコーヒーが持ち込まれたのは1773年と言われていますが、広く普及したのは1850年頃。
グァテマラのコーヒーにとって、その歴史はマヤ系先住民ととても深いつながりがあり、
先住民たちの存在はとても大きいものです。
マヤ系先住民たちは、季節労働者として年間数ヶ月だけ現金収入を得るために
南部のコーヒー栽培の地へ出かけてゆくのです。
気の毒な話ですが、農園主たちには好都合だったようで、
―なぜなら先住民たちはトウモロコシや豆類の栽培を従来から生活の基盤にしていて、
彼らに必要な現金収入は低いまま維持されてしまいます、
つまり、賃金を上げろという要求が 高まることがないから。
現在、南部ボカ・コスタにある主要栽培地域での産出量は 国内産出量の60%を占めています。
その中でも、大規模経営による産出高は、9割にも達します。
しかし、この国ではサトウキビなど他の栽培も推進されてきたので、
コーヒーの国際価格はとても不安定です。
大規模プランテーションによる量産コーヒーがそんな状況であるから、
グァテマラ全国コーヒー協会ANACAFEは、
中西部山岳地帯の山間部での小規模栽培でコーヒーの高品質化 という路線に注目したのです。

そこで頭角を現したサンタバーバラ農園。
マヤ系先住民の力を借りながら、
たくさんある川のきれいな水を使用して、
しっかりした苦甘さ、なめらかな豊かな香り、
少し深めの焙煎で 寒い時期には特に美味しく感じるコーヒーです。
星の数や産地銘柄ではない コーヒー案内POPをぶら下げている焙煎珈房NONAKAでは、
いらっしゃるお客様たちが、みなさん、
「これってどういうコーヒーなんですか?」とお尋ねになります。
そしてそのコーヒーの背景を、スタッフはお伝えしています。
こんなふうに、コーヒーを飲む時、そのコーヒーの地域や歴史、色々な背景を思い浮かべてみると、
コーヒーはもっともっともっと、味わい深い果てしないものになりますよ


