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珈琲案内人りん

Author:珈琲案内人りん
珈琲豆屋の”案内人”やってます。
珈琲の味に限らず、珈琲の世界すべてが面白いので、
自分の中で、コーヒーにつながったことなど をつぶやいています。

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モカ・イルガチェフ
Yirga Chefe。=”湿地とその草”。現地の言葉では、そういう意味です。
現地の人々は、『イルガチャフェ』と発音しているようです。
エチオピアはアフリカの国。なんとなく乾燥した地を想像してしまいますが、
この地域は南部のシダモ高地(約2000m)にあり、水が豊かにあるのです。
この豊かな水を使用して、水洗式の精製処理をするコーヒーを作っています。
その中の高級品が、
この『エチオピア・イルガチェフ(イルガチャフェ)』なのです。
急斜面の、森に覆われた丘陵地域で、地層が厚く 肥沃な黒土に恵まれています。

イルガチェフェ



他のコーヒー生産地では、実はあまりコーヒーを飲まない国が多いのをご存知ですか。
なぜか コーラ とか、ミロ とか、そういうものを好むのですね。
しかし、このエチオピアという国はそれらの国とちがって 歴史的にコーヒーを飲む習慣のある”消費国”でもあり
生産の約半分は国内で消費しています。
以前の記事で、エチオピアならではの『コーヒーセレモニー』=”Kariomon(カリオモン)”という作法があることを
ご紹介しました。
日本で言う、”茶道”のようなものです。
コーヒーを飲む という行為に、精神的な要素や教養などが含まれる 文化的な習慣です。
・・・とってもすてきなこと。


しかしコーヒーは、エチオピアにとって最大の輸出作物で、この国では『ブラックゴールド(黒い黄金)』と呼ばれているほどです。
つまり、重要な外資獲得源なので、最も品質の良い グレード1~5のコーヒーは
すべて輸出しなければならない、と 法律で決められているのです


  イルガチェフは、グレード1 または 2 がほとんど。


エチオピアから輸出されるコーヒー豆の90%は、
産地別・グレード別の分類のうち、10種類からなっています。

   全輸出量の 約6割 を占めるのは、
    ・レケンプティ グレード 5
    ・ジンマ グレード 5 
    ・シダモ グレード 2 。

  そして、10種類の中で最も価格が高いものは、
    ・イルガチェフェ グレード 2 と、
    ・シダモ グレード 3。

  輸出量は非常に少ないけれども、全種類の中で最も価格が高いものは、
    ・イルガチェフェ グレード 1 
    ・リム グレード 3
    ・一部のフェアトレードコーヒー

なのです。


イルガチェフェは、素晴らしくできの良いコーヒーなので、ほぼ輸出に回されるということです。
…自分たちでは、美味しいコーヒーの味を味わうことができないんですね。
申し訳ない気がします。


        


ところでもうひとつ。
エチオピアには、コーヒー生産方法が主として3種類あります。
  ひとつは 森林コーヒー
  そして、ガーデンコーヒー
  それから、プランテーションコーヒー

この3つです。

   エチオピア コーヒー生産方法別地図


  森林(または半森林)コーヒーとは、森林に自生するコーヒー。
  ガーデンコーヒー とは、 家屋の庭でバナナ・エンセーテやその他の果樹などをシェードツリーにして栽培するもの。
  プランテーションコーヒーとは、苗木を植えるところから 加工まで、 国営または民営で集中管理されているもの。

主にその3つです。

   イルガチェフは シダモ地方にあるので 『ガーデンコーヒー』

ガーデンコーヒーと言っても、その”ガーデン”の”でき方”もそれぞれ異なっていて、

  ・森林コーヒーの苗木を移植したもの
  ・研究所で開発された品種を植えてそうなったもの
  ・もともと森林内の、そこに生えていたコーヒーが先に在って、
    周りの森林が切られて人の方が後から住み始めたことでガーデンコーヒーになっているもの

があって、森林コーヒーやプランテーションコーヒーなどよりもシェードツリーが少なく、
果実の木やエンセーテ、その他の作物と間作されていることが多いようです。

そして、ガーデンコーヒーは小規模農家が多いのです。
小規模農家の畑は小さくて、0.5ha程度。
森林コーヒーなどと比べると、とても栽培管理が行き届いていて
生産性が高い
森林コーヒーは1haあたり50~150kg、半森林コーヒーは1haあたり100~200kgですが、
ガーデンコーヒーは1haあたり 400~500kgも栽培することができるのです。

 しかも、
  国営や民営で管理されているプランテーション栽培では、定期的に化学肥料が使用されているものが多いのですが、
  イルガチェフェのような小規模農家は、化学肥料や農薬を購入する十分な資金がないため、
  農業投入剤を使用していません。

  ですから、実はエチオピアコーヒーと言うのは約95%が有機栽培なんだそうです。
  しかし、有機認証には資金も必要なため、有機認証を取得できなくて”有機”と名乗れないだけで、

  とても、とっても いいコーヒーなんですね。

それでも 日本は 高品質の豆をきちんと高価格で買い取ります
そのため、エチオピアは日本との関係を重視してくれているのだとか。
 日本、素晴らしい!


          
 
          
いろいろ難しい話になってしまいましたが、
そんな訳で、イルガチェフは美味しいわけです。
やっぱり、人気があるのも納得です。


さあ、こんなことも少し頭において、
もう一度じっくりと この素晴らしい風味のイルガチェフを、
召し上がってみて下さい。


                                 




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テーマ:コーヒー - ジャンル:グルメ

アラビア | 22:30:00 | トラックバック(0) | コメント(1)
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2019-04-22 月 07:53:10 | | [編集]
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