2019-03-17 Sun
遅くなっちゃって…すみません…今月の月替りコーヒーのご案内です。
長い名前です。難しいようですが、
”ナリーニョ”は地区の名前、”EX”はコーヒーの格付け(選別の規格。『エキセルソ』と読む)、”ブエサコ”は、ナリーニョ地区の中の都市の名前―つまりブエサコ市、
という意味です。

コロンビアでコーヒーを栽培している地域は、3地域に分かれます。
北部と、中部と、このナリーニョ県がある南部。
同じコロンビアですが、この地域によって風味が分かれるのです。

北部で代表的なのは、
シエラネバダ・デ・サンタマルタ や、 ノルテ・デ・サンタンデール。
この辺りは標高も低く、900m~1300mです。
そのため、気温も高め。
味は、強いものが多いのです。
すごく重みがあって、酸味はまろやか。
中部では、
サンタンデール や、 アンティオキア、 トリマ、 ウィラ、 などが有名です。
標高は、中くらい。1300m~1700mでしょうか。
年間通じて雨量が多い地域です。
この中部のコーヒーは、完璧なバランスのコーヒーが多いのです。
重みも適度で、ほどよい酸味があって、飲みやすいものが揃っています。
さて、
今回ご紹介している”ナリーニョ県ブエサコ市”は、最後の南部にあります。
南部は、標高が高めで1800m~2300m!
気温が低いのです。
赤道に近いからと言って、コーヒーは気温が高いところでできるんでしょ?と思っている人が多いようですが、
そうではないんです。
暑くて雨量も十分にあって、でも標高の高い、つまり朝夕の気温の差があるところ。
が、いいんです。
植物の果実はゆっくりじっくり糖分を蓄えて成長することで、
非常に香り高い、高品質のコーヒーができるのですよ。
ナリーニョの豆は、生豆に含まれるショ糖成分の多さが特徴で、
コーヒーの品質を左右する上質な酸味が、とても豊かなのです。
だって、当店でも、「ブレンドでなくストレートコーヒーで、コクも適度にあるのがいい」という方に人気がある
”コロンビア・クレオパトラ”は、この南部地域のコーヒーなのです。
クレオパトラは、”カウカ”というところで栽培される、高品質コーヒー。
ナリーニョ県は、ガレラス火山という火山のおかげで
火山灰質の土や カルシウム・マグネシウムなどを含んだ粘土質の土に恵まれています。
そして、精製過程でも、アンデス山系のきれいなきれいな水で処理することができるのです。
栽培・精製、両方とも完璧な環境なのですね。
しかも、この”ブエサコ市”は、北緯1度!赤道直下です。
赤道直下で、標高の高いところ。
昼間にしっかりと日の光を浴びて、夜はしっかりと気温が下がって、
コーヒーの実はゆっくりじっくり糖分を蓄え、成長できます。
香りが高く、重すぎないコクのコーヒーが、できあがるのです。

ガレラス火山 2019年2月15日にも噴火したらしい

しかし、
(これはどの生産国でもそうなのですが)、
この近年の気候の変動は、農家の難題です。
コロンビアのコーヒー生産地域である山岳地帯と言うのは、嵐や気温の上昇など気候変動の影響を受けやすいのです。
これらの肥沃な山にある農園は、
土砂崩れ・浸食・洪水・干ばつや 害虫の侵略など、
この恐ろしい気候変動で 被害に悩みます。
2018年の調査では、農家の91%がコーヒーの花 及び 結実サイクルの変化を報告しているらしいのです。
75%は、害虫の増加に気付いているそうです(バデュー大学の研究)。
ある農家は 干ばつの間に、雨水を集めるためのタンクを建て、
ある農家は 農作物の多様化をはかり、バナナやアボガドなどを植えて
コーヒー収穫に失敗するリスクに備え。
気候の変化は、農家にとって恐ろしい課題ですが、
最近は、同じコーヒー豆のなかでも 病害や災害に強い品種に替えていく、など
工夫しているようです。

ところで…
本当かウソか知りませんが、
本物のコーヒー愛好家かどうか?は、
コロンビアの ”ウィラ” と ”サンタンデール” を見分けられるかどうか?
・・・で分かる とかいう話があるんですってね。
別に、そんなことどうでもいいと思うんですが。
皆さんは、自分の味覚を信じて
コロンビアの中でも 好きな感じの味を見つけて下さいね

この ブエサコ のコーヒーは、見事にバランスのとれた、
甘みも酸味も苦味もコクも、
ぎゅーっと味が凝縮したコーヒーです。
クレオパトラと飲みくらべてみるのもいいかもしれません。
気候変動の中頑張っている小規模農家のこのコーヒーを、
召し上がってみて下さい!


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